抵当権抹消登記の流れと費用|住所変更・相続時の注意点

こんにちは。こだま司法書士です。

住宅ローンなどを完済したあと、金融機関から書類が届いたものの、抵当権抹消登記をどのように進めればよいのか迷っていませんか。必要書類は何か、費用はいくらか、自分で申請できるのか、法務局へ行く必要があるのかなど、初めて手続きをする方には分かりにくい点がいくつもあります。

ローンを完済しても、登記簿に記録された抵当権設定登記が自動で消えるわけではありません。金融機関から受け取った登記原因証明情報、登記識別情報または登記済証、委任状などを確認し、不動産の所在地を管轄する法務局へ抵当権抹消登記を申請する必要があります。

登記簿上の住所や氏名が現在と異なる場合、所有者が亡くなっている場合、金融機関が合併している場合、必要書類を紛失している場合は、追加の確認や登記が必要になることもあります。この記事では、抵当権抹消登記の基本から必要書類、申請方法、登録免許税、司法書士へ相談する判断基準まで順番に整理します。

  • 抵当権抹消登記が必要になる理由
  • 必要書類と申請書作成の流れ
  • 登録免許税と依頼費用の考え方
  • 住所変更・相続・書類紛失時の注意点

抵当権抹消登記の基本と流れ

まずは、抵当権抹消登記が必要になる理由と、申請までの基本的な流れを確認します。金融機関から届いた書類の役割を理解しておくと、自分で進められる案件か、司法書士へ相談した方がよい案件かを判断しやすくなります。

住宅ローン完済後に抵当権抹消登記の書類を確認する男性

完済後に必要な理由

抵当権抹消登記とは、住宅ローンや事業用融資などの担保として不動産に設定された抵当権を、登記簿上から抹消する手続きです。抵当権は、借入金などの債権を担保するために設定される権利で、登記簿の権利部に記録されます。

ローンを全額返済して被担保債権が消滅すると、担保である抵当権も実体法上は消滅します。しかし、登記簿に記録された抵当権設定登記は自動では抹消されません。実際の権利関係と登記簿の記録を一致させるためには、法務局へ抵当権抹消登記を申請する必要があります。

抵当権抹消登記は、原則として不動産の所有者を登記権利者、金融機関などの抵当権者を登記義務者とする共同申請です。実務上は、金融機関が必要書類と委任状を所有者へ交付し、所有者本人または依頼を受けた司法書士が申請する形が多く見られます。

ローンの完済と抵当権抹消登記は別の手続きです。返済が終わっただけでは登記簿上の記録は消えないため、金融機関から書類を受け取ったら内容を確認し、抹消登記の準備を進めます。

なお、登記原因は案件によって弁済、解除、放棄など異なることがあります。申請書に記載する原因と日付は、返済した本人の記憶だけで決めるのではなく、金融機関から交付された登記原因証明情報の記載に合わせることが大切です

抵当権抹消登記は不動産の権利に関する登記であり、司法書士が取り扱う業務です。土地や建物の物理的な状況を登記する表題登記や測量を担当する土地家屋調査士とは、業務の対象が異なります。

まだ住宅ローン等を完済していない場合や、返済の継続が難しい場合は、抵当権抹消登記ではなく返済条件や債務整理の検討が先になることがあります。その場合は、借金や返済が難しい場合の相談をご確認ください。

放置すると起こる不利益

抵当権抹消登記には、一般的に相続登記のような一律の法定申請期限は設けられていません。そのため、完済直後に申請しなかったことだけを理由に、直ちに過料が科される手続きではありません。

ただし、期限がないことと、放置しても支障がないことは別です。不動産を売却する際には、買主へ抵当権の負担がない状態で引き渡すため、決済までに抹消登記を行うことが通常です。新たな融資を受けるために不動産へ担保を設定する場合や、住宅ローンを借り換える場合にも、既存の抵当権の確認と抹消を求められることがあります。

金融機関から受け取った書類を長期間保管している間に、紛失や汚損が生じる可能性もあります。登記識別情報や登記済証は再発行されないため、提出できない場合には通常とは異なる確認手続を検討しなければなりません。

また、所有者が亡くなって相続が発生したり、抵当権者である金融機関が合併や組織再編を行ったりすると、戸籍や法人の変更経緯など、確認する事項が増える場合があります。抹消できなくなると一律に断定することはできませんが、当初より手続が複雑になる可能性があります。

売却や借り換えの日程が決まってから初めて書類不足が判明すると、予定の調整が必要になることがあります。金融機関から書類を受け取った段階で、書類の不足や登記簿上の住所を確認しておくと安心です。

不動産登記の種類や司法書士と土地家屋調査士の業務範囲については、不動産登記の手続と相談先でも整理しています。

必要書類と入手先

抵当権抹消登記では、金融機関から交付される書類と、申請人側で作成または準備する書類を組み合わせて申請します。金融機関によって書類の名称や様式が異なることがあるため、名称だけでなく、その書類が何を証明するものかを確認することが重要です。

抵当権抹消登記に必要な書類と封筒を整理した机
抵当権抹消登記で一般的に確認する書類
書類・情報 主な準備者 役割と注意点
登記原因証明情報 金融機関 弁済、解除、放棄など、抵当権が消滅した原因と日付を証明する書類です
登記識別情報または登記済証 金融機関 抵当権者について発行された権利証に相当する情報です。提出できない場合は別の確認手続が必要になることがあります
金融機関の委任状 金融機関 所有者や司法書士などへ、抹消登記の申請を委任する書類です
会社法人等番号 金融機関の情報を確認 申請情報に記載する法人識別番号です。金融機関から独立した証明書として交付されるとは限りません
抵当権抹消登記申請書 申請人 登記の目的、原因、当事者、不動産の表示、登録免許税などを記載します
登録免許税の納付書類 申請人 書面申請では収入印紙を貼った台紙などを使用します。オンライン申請では電子納付を利用できる場合があります
返信用封筒など 申請人 郵送申請で返却書類の送付を希望する場合など、申請方法に応じて準備します
原本還付関係書類 申請人 原本還付が認められる添付書類の返却を希望する場合に、写しや原本還付の処理を準備します

登記識別情報は、登記識別情報通知という書面に記載された情報です。古い抵当権設定登記では、登記済証と表示された契約書などが交付されている場合があります。いずれも再発行されないため、受け取った書類一式は分けずに保管してください。

解除証書、弁済証書、委任状などを紛失した場合は、まず金融機関へ再交付が可能か相談します。書類の再交付方法や必要期間は金融機関によって異なるため、売却などの予定がある場合は早めの確認が必要です。

金融機関から受け取った封筒には、登記に必要な書類と案内文がまとめて入っていることがあります。書類名が分からなくても、自己判断で破棄せず、封筒ごと保管して確認するのがおすすめです。

申請書の書き方

抵当権抹消登記申請書には、登記の目的、登記原因と日付、登記権利者、登記義務者、添付情報、申請日、管轄法務局、登録免許税、不動産の表示などを記載します。

登記の目的は、一般的には抵当権抹消と記載します。順位番号が必要な様式や事案では、登記事項証明書に記録された抵当権の順位番号も確認します。

登記原因とその日付は、金融機関から交付された登記原因証明情報に従って記載します。ローンの最終返済日が、そのまま登記原因の日付になるとは限りません。弁済、解除、放棄などの原因も案件によって異なるため、書類の表題だけで判断せず、本文の記載を確認します。

登記権利者には不動産所有者の住所と氏名を、登記義務者には金融機関の本店所在地、名称、会社法人等番号などを記載します。登記簿上の所有者の住所や氏名と現在の情報が一致していない場合は、抵当権抹消登記の前提として住所・氏名変更登記が必要になることがあります。

不動産の表示は、日常使用している住所ではなく、登記事項証明書の記載に合わせます。土地は所在と地番、建物は所在、家屋番号、種類、構造、床面積などを確認してください。

書面申請で収入印紙を使用する場合は、一般的に登録免許税納付用の台紙へ貼付します。提出前に申請人が収入印紙へ消印を押すのではなく、法務局の案内や最新の申請手引に従って準備してください。

申請書の様式や記載例は更新されることがあります。作成時には、不動産登記の申請書様式に関する法務局の案内で、最新の抵当権抹消登記申請書と手引を確認してください。

法務局への申請方法

抵当権抹消登記は、不動産の所在地を管轄する法務局へ申請します。申請人の現住所を管轄する法務局ではないため、複数地域に不動産を所有している場合は、各不動産の管轄を確認する必要があります。

法務局の窓口で抵当権抹消登記の書類を提出する男性
抵当権抹消登記の主な申請方法
申請方法 特徴 主な注意点
窓口申請 申請書と添付書類を管轄法務局へ持参します 受付時間や必要書類を事前に確認します。窓口提出は事前審査を意味しません
郵送申請 申請書と添付書類を管轄法務局へ送付します 追跡できる送付方法や返信用封筒の準備を検討します。不備があれば補正対応が必要です
オンライン申請 申請用総合ソフトなどを使用し、申請情報をオンラインで送信します 電子署名や電子証明書が必要になる場合があります。書面の添付情報は別途提出することがあります
QRコード付き書面申請 申請用総合ソフトで情報を送信した後、QRコード付き申請書を印刷して提出します 電子証明書を使用せずに申請書を作成できますが、申請書と添付書類は書面で提出します

オンライン申請では、申請情報を電子的に送信し、電子署名などを付す方法があります。ただし、金融機関が押印した紙の委任状や登記原因証明情報を交付している場合、または登記済証が添付書類となる場合には、オンラインだけで完結せず、書面の原本を持参または郵送することがあります。

QRコード付き書面申請は、申請用総合ソフトで申請情報を作成して法務局へ送信し、その後、QRコードが印字された申請書を印刷して添付書類と一緒に提出する方法です。オンライン申請と通常の書面申請の中間に位置する方法と考えると分かりやすいでしょう。

福山市、府中市、神石郡神石高原町にある不動産の登記は、広島法務局福山支局が管轄しています。管轄や窓口案内は変更される可能性があるため、申請前に公式情報をご確認ください。

広島法務局福山支局の所在地、電話番号、窓口対応時間、管轄区域は、広島法務局福山支局の公式案内で確認できます。

法務局では、登記申請書の作成方法、一般的な必要書類、収集方法などについて、登記手続案内を受けられる場合があります。ただし、登記手続案内は申請書や添付書類の事前審査ではなく、申請が受理されることを保証する制度でもありません。個別の法律判断や代理申請は行われず、実際の申請後に登記官が内容を審査します。

登記手続案内は予約制で運用されている場合があります。予約方法、対応時間、対面・電話・ウェブ対応の有無は法務局によって異なるため、利用前に管轄法務局へ確認してください。

自分で手続きする場合

抵当権抹消登記は、資格者へ依頼しなければ申請できない手続きではありません。所有者本人が申請書を作成し、法務局へ申請することも可能です。

自分で進めやすいのは、金融機関から必要書類が一式交付されており、所有者の住所・氏名に変更がなく、相続や金融機関の合併が関係せず、売却などの期限も迫っていない案件です。

一方、次のような場合は、申請前に必要な登記や添付書類の判断が複雑になりやすいため、司法書士への相談を検討できます。

  • 登記簿上の住所や氏名が現在と異なる
  • 不動産所有者が亡くなっている
  • 金融機関名が登記簿の記録と異なる
  • 登記識別情報または登記済証を提出できない
  • 複数の不動産や複数の抵当権がある
  • 売却や借り換えの予定日が決まっている

自分で申請した場合、司法書士報酬は発生しません。ただし、申請書の作成、登記事項証明書の確認、郵送、法務局から補正を求められた場合の対応などは申請人自身が行います。

法務局から補正の連絡を受けた場合は、指定された内容を確認して期限内に対応します。補正で解決できない不備があると、申請の取下げや再申請が必要になることもあります。費用だけでなく、手続に使える時間や案件の複雑さも含めて判断することが大切です。

法務局の登記手続案内を利用しても、個別案件の法律判断や申請内容の適否を事前に確定してもらえるわけではありません。必要な登記の順番が分からない場合は、司法書士への相談も選択肢になります。

抵当権抹消登記の費用と注意点

抵当権抹消登記にかかる費用は、登録免許税などの実費と、司法書士へ依頼する場合の報酬に分けて考えます。さらに、住所・氏名変更登記、相続登記、金融機関の合併、書類紛失などがある場合は、追加の登記や確認が必要になることがあります。

登録免許税の計算方法

抵当権抹消登記の登録免許税は、原則として抵当権を抹消する不動産1個につき1,000円です。ローンの借入額、残高、固定資産税評価額ではなく、申請対象となる不動産の個数で計算します。

登録免許税=抵当権を抹消する不動産の個数×1,000円

抵当権抹消登記の登録免許税の計算例
不動産の内容 個数 登録免許税
土地1筆と建物1棟 2個 2,000円
土地2筆と建物1棟 3個 3,000円
専有部分1個と敷地1筆 2個 2,000円
専有部分1個と敷地3筆 4個 4,000円
同一申請書で20個以上 20個以上 20,000円

土地は登記簿上の1筆を1個、建物は1棟を1個として数えます。自宅敷地が複数の地番に分かれている場合や、共有の私道にも抵当権が設定されている場合は、その土地も個数に含まれることがあります。

敷地権付きマンションでは、専有部分の建物に加え、敷地権の対象となる土地の個数に応じて登録免許税を計算します。そのため、マンションであれば一律2,000円になるとは限りません。

同一の申請書で20個以上の不動産について抵当権抹消登記を申請する場合は、登録免許税が一律20,000円となる取扱いがあります。申請を分ける場合や複数の登記を申請する場合は計算が変わることがあるため、申請内容に応じて確認してください。

登録免許税のほか、登記事項証明書や登記情報の取得費、郵送費などが必要になる場合があります。金額や納付方法は変更される可能性があるため、正確な情報は公式サイトをご確認ください。登録免許税の根拠法令は、e-Gov法令検索の登録免許税法でも確認できます。

司法書士に依頼する費用

司法書士へ依頼する場合の費用は、主に登録免許税などの実費と司法書士報酬で構成されます。司法書士報酬は全国一律ではなく、事務所ごとの料金基準や案件の内容によって異なります。

司法書士へ依頼する場合に確認したい費用項目
費用項目 内容
登録免許税 原則として、抵当権を抹消する不動産1個につき1,000円
登記情報等の取得費 事前調査や完了後の確認に使用する登記事項証明書、登記情報などの実費
郵送・通信費 金融機関、依頼者、法務局との書類送付などにかかる実費
司法書士報酬 書類確認、申請書作成、法務局への代理申請、補正対応、完了確認などの報酬
追加手続の費用 住所・氏名変更登記、相続登記、抵当権移転登記、書類紛失への対応などが必要な場合の費用

こだま事務所の正式な料金は、対象不動産の数、登記簿上の住所、金融機関から交付された書類、相続の有無などを確認したうえで決まります。依頼を検討する場合は、受任前に手続内容と見積額をご確認ください。

見積もりを確認するときは、司法書士報酬だけでなく、登録免許税、登記情報の取得費、郵送費、追加登記の費用が含まれているかを分けて確認すると、総額を把握しやすくなります。

抵当権抹消登記は司法書士が取り扱う権利に関する登記です。測量や建物表題登記などを担当する土地家屋調査士への報酬が通常の抵当権抹消登記だけで発生するものではありません。

住所変更がある場合

抵当権抹消登記を申請する際は、登記簿に記録された所有者の住所・氏名と、申請時の住所・氏名が一致しているかを確認します。引っ越しや婚姻などにより表示が変わっている場合は、抵当権抹消登記の前提として、所有権登記名義人の住所・氏名変更登記が必要になることがあります。

住所等変更登記の義務化、必要書類、スマート変更登記の詳しい仕組みは、住所等変更登記の義務化と申請方法で整理しています。抵当権抹消登記を急ぐ場合は、職権登記を待つのではなく、通常の住所・氏名変更登記を先に申請する必要があるか確認してください。

住所のつながりを証明するため、住民票、住民票の除票、戸籍の附票などを使用します。複数回転居している場合や、保存期間の経過により過去の証明書を取得できない場合は、必要書類の判断が個別になります。

2026年4月1日から、所有権の登記名義人の住所・氏名・名称変更登記は義務化されています。住所や氏名などに変更があった場合は、原則として変更日から2年以内に変更登記を申請する必要があります。正当な理由なく義務を怠った場合は、5万円以下の過料が科される可能性があります。

2026年4月1日より前に住所や氏名などが変わり、変更登記をしていない不動産も義務化の対象です。施行日前の変更については、原則として2028年3月31日までに変更登記を行う必要があります。

個人の所有者は、氏名、生年月日、メールアドレスなどの検索用情報を法務局へ申し出ることで、住所等の変更を法務局が確認し、職権で変更登記を行うスマート変更登記の対象となり得ます。

検索用情報を申し出ていても、売却や新たな融資の予定があり、早急に登記簿の表示を変更する必要がある場合は、職権登記を待たずに自ら変更登記を申請することがあります。

制度の対象者、申出方法、義務を履行したものとして扱われる条件などは、住所等変更登記の義務化に関する法務省の案内で最新情報をご確認ください。

相続がある場合の順番

抵当権が登記された不動産の所有者が亡くなっている場合は、所有者の死亡日と、抵当権が弁済や解除などによって消滅した日の前後関係を確認します。この順番によって、相続登記を先に行う必要があるか、相続人が被相続人の登記権利者として抹消登記を申請できるかが異なる場合があります。

所有者が亡くなる前に抵当権が消滅していた場合は、相続人が相続関係を証明する戸籍などを添付し、相続人から抵当権抹消登記を申請できる場合があります。ただし、登記原因証明情報の内容、相続人の範囲、金融機関の書類などを確認する必要があり、すべての案件で同じ書類になるとは限りません。

所有者が亡くなった後にローンを完済した場合や、その後に金融機関が抵当権を解除した場合は、先に相続登記を行い、相続人名義へ変更したうえで抵当権抹消登記を申請することがあります。相続登記と抵当権抹消登記を、申請順序を定めて同時に提出する連件申請が利用される場合もあります。

相続が関係する場合は、死亡日、完済日、解除日、登記簿上の所有者、金融機関の書類を並べて確認することが重要です。完済済みという事情だけで手続の順番を決めることはできません。

相続登記は2024年4月1日から義務化されています。相続や遺贈によって不動産を取得した相続人は、原則として、その取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。正当な理由なく義務を怠った場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります。

相続登記の期限、必要書類、相続人申告登記などについては、相続登記の手続と必要書類をご確認ください。

抵当権抹消登記は担保権を消す手続きであり、不動産の所有者そのものを変更する登記ではありません。売買、贈与、相続、財産分与などで所有者が変わる場合は、原因別に確認する不動産の名義変更と区別して検討してください。

銀行合併や商号変更

住宅ローンは返済期間が長いため、抵当権設定時の金融機関が合併していたり、商号や本店所在地が変わっていたりすることがあります。金融機関名が登記簿の記録と異なる場合は、現在の金融機関名だけを申請書に記載すればよいとは限りません。

完済や解除より前に金融機関の合併が行われた場合、抵当権が合併後の金融機関へ承継されているため、抹消登記の前提として合併による抵当権移転登記が必要になることがあります。

一方、抵当権が消滅した後に金融機関が合併した場合は、抵当権そのものではなく、抹消登記に協力する登記義務者としての地位を承継した会社が、直接抹消登記の当事者となることがあります。

商号変更や本店移転の場合は、会社法人等番号や法人の登記情報によって変更経緯を確認でき、抵当権名義人の表示変更登記を省略して抹消登記を申請できる場合があります。ただし、古い法人記録や複数回の再編が関係する場合などは、追加の証明情報が必要になる可能性があります。

金融機関の再編が関係する場合は、登記簿、完済日または解除日、合併日、金融機関から交付された書類を確認して判断します。金融機関名が違うことだけを理由に、必要な前提登記を一律に判断することはできません。

書類を紛失した場合

金融機関から受け取った書類を紛失した場合は、まず紛失した書類の種類を確認します。解除証書、弁済証書、委任状などは、金融機関へ再交付を相談できる場合があります。

一方、登記識別情報または登記済証は再発行されません。紛失したものと同じ登記識別情報や登記済証を、金融機関や法務局から改めて交付してもらうことはできません。書類ごとの再交付可否や事前通知の流れは、抵当権抹消の書類を紛失したときの手続きで確認できます。

登記識別情報や登記済証を提出できない場合でも、直ちに抵当権抹消登記ができなくなるとは限りません。申請後に法務局から登記義務者である金融機関へ通知し、金融機関が期限内に申請内容が正しい旨を申し出る事前通知制度など、別の確認方法を検討します。

事前通知制度では、法務局と金融機関との間で確認手続が行われるため、通常の申請より日数を要する可能性があります。売却の決済日や借り換えの日程が迫っている場合は、手続に必要な期間を見込んで早めに金融機関や司法書士へ確認してください。

登記識別情報や登記済証を紛失した場合は、通常の申請と必要書類や流れが異なる可能性があります。金融機関へ再発行だけを依頼するのではなく、抹消登記の対応方法を相談してください。

資格者代理人が作成する本人確認情報という制度もありますが、抵当権者が金融機関である案件では、金融機関側の対応や本人確認の方法など、個別事情に左右されます。一般的な解決方法として一律に利用できるものではないため、具体的な案件ごとに確認が必要です。

抵当権抹消登記のよくある質問

抵当権抹消登記について、よく寄せられる疑問をまとめます。個別の案件では、登記簿や金融機関から交付された書類によって必要な対応が変わる点にご注意ください。

抵当権抹消登記に期限はありますか

抵当権抹消登記には、一般的に一律の法定申請期限は設けられていません。ただし、書類の紛失、相続、金融機関の再編などにより確認事項が増えることがあります。不動産の売却や借り換えを予定している場合は、その日程に間に合うよう早めに手続きを進めることが大切です。

抵当権抹消登記は自分で申請できますか

不動産所有者本人が申請することも可能です。金融機関から必要書類が揃っており、住所・氏名変更、相続、金融機関の合併、書類紛失などがなければ、法務局の申請手引を確認しながら進められる場合があります。

銀行から受け取った書類に有効期限はありますか

抵当権抹消登記の書類すべてに、一律の有効期限が定められているわけではありません。ただし、金融機関の代表者変更、書類の記載内容、添付する証明書の種類などにより、差し替えや再交付が必要になることがあります。紛失を防ぐ意味でも、受け取った後は早めに内容を確認してください。

登記簿上の住所が古い場合はどうなりますか

現在の住所・氏名と登記簿上の表示が異なる場合は、抵当権抹消登記の前提として住所・氏名変更登記が必要になることがあります。複数回転居している場合は、登記簿上の住所から現在住所までのつながりを証明する書類を確認します。

登記識別情報を紛失しても申請できますか

登記識別情報や登記済証は再発行されませんが、事前通知制度など別の確認方法によって抹消登記を進められる場合があります。金融機関の対応や申請日程にも関係するため、早めに相談してください。

不動産の所有者が亡くなっている場合はどうなりますか

所有者の死亡日と、抵当権が弁済や解除などによって消滅した日の前後関係により、必要な登記や申請方法が変わる場合があります。相続登記を先に行う場合や、戸籍などを添付して相続人から抹消登記を申請する場合があるため、個別の確認が必要です。

抵当権抹消登記のまとめ

抵当権抹消登記は、住宅ローンなどを完済した後、登記簿上に残っている抵当権設定登記を抹消する手続きです。ローンを完済しても登記簿の記録は自動では消えないため、金融機関から交付された書類を使って法務局へ申請します。

登録免許税は、原則として抵当権を抹消する不動産1個につき1,000円です。土地1筆と建物1棟であれば2,000円、土地2筆と建物1棟であれば3,000円となります。マンションは敷地権の対象となる土地の個数によって税額が変わります。

登記簿上の住所・氏名が現在と異なる場合、所有者が亡くなっている場合、金融機関の合併や商号変更がある場合、登記識別情報や登記済証を紛失している場合は、追加の登記や確認手続が必要になることがあります。

金融機関から抹消書類を受け取ったら、書類を紛失する前に、不動産の表示、所有者の住所・氏名、金融機関名、必要書類の有無を確認しましょう。

次のような場合は、司法書士への相談を検討できます。

  • 登記簿上の住所や氏名が古い
  • 不動産の所有者が亡くなっている
  • 金融機関名が登記簿と現在で異なる
  • 登記識別情報または登記済証を紛失した
  • 売却や借り換えの日程が迫っている
  • 自分のケースに必要な登記や順番が分からない

こだま司法書士では、金融機関から交付された書類と登記簿の内容を確認し、抵当権抹消登記のほか、必要に応じて住所・氏名変更登記や相続登記を含めた手続の順番を整理します。依頼を決めていない段階でも、まず何を確認すべきか分からない場合はご相談ください。

抵当権抹消登記の手続きについて司法書士へ相談する夫婦

法律や法務局の運用、必要書類、手数料は変更される可能性があります。正確な情報は公式サイトをご確認ください。具体的な案件における最終的な判断は、登記簿と関係書類を確認できる専門家にご相談ください。

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