こんにちは。こだま土地家屋調査士事務所です。
土地を売却したり相続したりする前に測量したところ、登記簿の面積と実測面積が違うと分かり、「地積更正登記の費用はいくらかかるのだろう」と不安になる方は少なくありません。
地積更正登記の費用は、申請書を作る作業だけで決まるものではありません。登記所や役所での資料調査、現地測量、隣接地との境界確認、道路・水路など公共用地との協議、境界標の設置、地積測量図の作成、登記申請までの作業量を積み上げて算定します。
日本土地家屋調査士会連合会の令和7年度調査では、一定の条件を置いた地積更正登記の設例について、報酬額の全国中央値は42万1,000円、中国ブロックの中央値は39万4,970円、広島会の中央値は40万9,000円でした。ただし、これは特定のモデルケースの集計であり、すべての土地がこの金額になるという意味ではありません。
この記事では、地積更正登記の費用相場の読み方、見積書の内訳、費用が高くなる条件、必要書類、期間、自分で申請する場合の注意点を整理します。
- 令和7年度の特定設例では全国中央値42万1,000円、広島会中央値40万9,000円
- 費用は境界点数、隣接地数、官民境界の有無、資料の充足度などで変わる
- 安い見積りは測量・境界確認・申請のどこまで含むかを確認する
- 地積更正登記だけを申請する場合、原則として登録免許税はかからない
地積更正登記の費用相場と内訳
地積更正登記の費用を調べると、数十万円から100万円を超える例まで、幅の大きい金額が見つかります。この差は、土地家屋調査士の申請報酬だけでなく、境界を明らかにするための調査・測量・立会いの範囲が土地ごとに違うためです。
まずは公表された報酬統計を基準にし、その統計が想定する条件と、ご自身の土地の条件を比べると費用を考えやすくなります。
令和7年度調査の費用目安
日本土地家屋調査士会連合会は、令和7年度の土地家屋調査士報酬に関する実態調査を公表しています。地積更正登記の設例は、売買を目的とする都市部の住宅地180平方メートルを想定し、対象地1筆、隣接地6筆、道路や民有地との境界確認、新しい境界標3点の設置などを含むものです。
| 集計区分 | 中央値 | 平均値 |
|---|---|---|
| 全国 | 421,000円 | 441,391円 |
| 中国ブロック | 394,970円 | 396,006円 |
| 広島会 | 409,000円 | 412,227円 |

この数字は全国一律の料金表ではなく、一定の設例に対する回答報酬額の集計です。対象地の広さが同じでも、境界点の数、隣接地所有者の人数、道路・水路の状況、既存資料の精度によって見積額は変わります。
また、中央値は回答額を小さい順に並べた中央の値、平均値は回答額の合計を回答数で割った値です。少数の高額・低額事例の影響を受けにくい中央値から確認し、個別の見積りと比較するのが分かりやすいでしょう。
設例の条件と集計値は、日本土地家屋調査士会連合会の令和7年度業務報酬統計資料で確認できます。
費用相場を見るときの注意
- 調査・測量・境界確認・登記申請を含む総額か
- 消費税や証明書取得費、交通費、境界標などの実費を含むか
- 官民境界の確認や地図訂正を別料金としていないか
- 追加作業が生じる条件を明記しているか
費用を構成する主な作業
地積更正登記の見積りは、一般に次のような作業の組み合わせで構成されます。事務所によって項目名やまとめ方が違うため、項目名だけでなく作業範囲を確認してください。
| 作業区分 | 主な内容 | 費用が変わる要素 |
|---|---|---|
| 資料調査 | 登記記録、公図、地積測量図、旧図、道路・水路資料などの確認 | 資料の有無、年代、相互の不一致 |
| 現地調査・測量 | 境界標、塀、道路、建物等の現況確認と測量 | 土地の広さ、形状、高低差、見通し、測量範囲 |
| 境界確認 | 隣接地所有者への連絡、立会い、確認資料の作成 | 隣接地数、共有者数、連絡状況、認識の相違 |
| 官民協議 | 道路・水路など公共用地の管理者との確認 | 管理者、地域の手順、既存査定資料の有無 |
| 境界標設置 | 確認した位置への金属標、杭などの設置 | 点数、材質、施工条件 |
| 図面・申請 | 地積測量図、申請情報、添付情報の作成と登記申請 | 筆数、資料補正、登記官からの確認事項 |

日本土地家屋調査士会連合会の相談Q&Aでも、境界確定は資料調査、現地測量、資料と測量結果の精査、仮境界点の復元、関係者との立会い、境界標の設置、必要な登記申請という流れで説明されています。詳しくは、日本土地家屋調査士会連合会の相談Q&Aをご確認ください。
このため、「登記申請だけなら安いはず」と考えるより、正しい地積を証明できる資料を整えるまでの作業が費用の中心になると考えるほうが実態に合います。
費用が高くなる土地の条件
地積更正登記の費用が高くなりやすいのは、面積が広い土地だけではありません。小さな宅地でも、境界点や関係者が多く、資料同士が食い違っていれば、確認作業が増えます。
追加作業が生じやすい条件
- 境界標がない、移動している、どの点か判断しにくい
- 公図、地積測量図、旧図、現況の形状が一致しない
- 隣接地が多い、共有地がある、相続登記が済んでいない
- 隣接地所有者の住所や連絡先が分からない
- 道路、水路、里道などとの官民境界確認が必要
- 傾斜、擁壁、藪、建物密集などで測量しにくい
- 地図の訂正や分筆など、地積更正以外の手続も必要
- 売買日程が迫り、連絡・測量・申請を急ぐ必要がある

隣接地所有者が分からない場合でも、直ちに手続不能と決まるわけではありません。法務省は、所有者不明土地や所在不明所有者が関係する分筆・地積更正登記について、登記官による調査などを含む取扱いを案内しています。個別案件で利用できる方法は、法務省の隣接地所有者が分からない場合の案内を踏まえ、土地家屋調査士や管轄法務局へ確認します。
隣地との認識が食い違っている場合は、立会い回数が増えたり、筆界特定制度や土地家屋調査士会ADRの検討が必要になったりすることがあります。通常の見積りに紛争解決手続まで含まれるとは限りません。
境界標が見つからないときの確認手順は、境界杭が見つからないときの確認手順と相談先、立会いを断られた場合の選択肢は、隣地に境界立会いを拒否されたときの対処法も参考にしてください。
見積書で確認したい項目
複数の見積りを比較するときは、総額だけで判断せず、同じ作業範囲で比べることが重要です。20万円の見積りに境界確認や官民協議が含まれず、40万円の見積りには含まれているなら、単純に前者が安いとはいえません。
見積書で確認するチェック項目
- 対象地と測量範囲はどこまでか
- 隣接地所有者への連絡、立会い、確認書作成を含むか
- 道路・水路との官民境界確認を含むか
- 境界標の材料費・設置費を含むか
- 地積測量図と登記申請の作成・代理を含むか
- 登記事項証明書、地図、図面などの取得実費を含むか
- 交通費、郵送費、消費税を含む表示か
- 追加費用が発生する条件と、追加前の連絡方法
- 地図訂正、分筆、相続登記など別手続の費用を含むか

見積りを依頼するときは、登記事項証明書や固定資産税の資料だけでなく、過去の測量図、境界確認書、売買契約書に添付された図面など、手元にある資料をまとめて提示しましょう。使える資料が早い段階で分かれば、追加調査の見通しを立てやすくなります。
「一式」とだけ書かれた見積りは、作業範囲を質問してください。特に、隣接地との立会いが不成立だった場合、官民協議が長期化した場合、地図訂正が必要になった場合の取扱いを契約前に確認しておくと安心です。
依頼するか迷う場合は、土地測量・境界確認のサービス案内で相談時に整理する内容をご確認ください。
登録免許税と実費
地積更正登記だけを申請する場合、原則として登録免許税はかかりません。登録免許税法は、別表第一に掲げる登記を課税対象とし、同表には土地の分筆・合筆について1個につき1,000円の規定がありますが、地積更正登記は同じ課税区分に掲げられていません。
そのため、地積更正登記の費用を説明する際に「1筆1,000円の登録免許税が必ず必要」とするのは正確ではありません。分筆・合筆など別の登記を同時に申請する場合は、その別手続について登録免許税が生じることがあります。最新の課税区分は、e-Gov法令検索の登録免許税法と管轄法務局で確認してください。
登録免許税がかからなくても、次のような実費は発生します。
- 登記事項証明書、地図、公図、地積測量図などの取得費
- 自治体や道路管理者が保管する資料の取得費
- 郵送費、交通費、境界標の材料費・設置費
- 土地家屋調査士報酬に対する消費税
- 地図訂正、分筆、相続登記などを併せて行う場合の別費用
法務局で取得できる地図・図面証明書の種類や請求方法は、法務局の地図・図面証明書に関する案内で確認できます。
地積更正登記の費用と手続き
費用を正しく見積もるには、何を調べ、どこまで境界を確認し、どの書類を作るのかを理解する必要があります。ここからは、地積更正登記が必要になる場面から申請までの流れを説明します。
地積更正登記が必要な場面
地積更正登記は、登記記録に記載された土地の面積が、境界を確認して測量した正しい面積と一致しないときに、登記記録の地積を正すための手続です。日本土地家屋調査士会連合会も、登記簿面積と境界確定後の実測面積が異なる場合に地積更正登記を申請すると案内しています。
たとえば、土地の売却、相続、建築、融資、分筆を検討する過程で測量し、差が判明することがあります。ただし、面積に差があれば常に地積更正登記になるとは限りません。登記後に土地の物理的な面積が変わった場合は「地積変更」となることがあり、地図の形状まで違う場合は地図訂正の検討も必要です。
また、古い登記記録の数値と現在の測量値に差があっても、その差だけで境界位置が決まるわけではありません。公図、地積測量図、過去の境界確認資料、現地の境界標、占有状況などを総合して筆界を確認します。
地積更正登記は「面積の数字だけを書き換える手続」ではなく、その数字の根拠となる土地の範囲と測量成果を示す手続だと理解しておきましょう。
必要書類と調査資料
地積更正登記では、一般に登記申請情報と地積測量図などを提出します。ただし、実際に必要となる情報・資料は、登記名義人と申請人の関係、代理申請の有無、既存資料、境界確認の状況によって変わります。
| 区分 | 主な資料 | 目的 |
|---|---|---|
| 登記所資料 | 登記事項証明書、公図、地積測量図、土地所在図など | 登記上の地積・形状・過去の測量成果を確認 |
| 役所等の資料 | 道路・水路資料、区画整理図、換地図、地籍調査資料など | 公共用地や地域の基準点との関係を確認 |
| 依頼者の資料 | 過去の測量図、境界確認書、売買時の図面など | 過去の合意や境界標の経緯を確認 |
| 申請用資料 | 申請情報、地積測量図、代理権限を示す情報など | 正しい地積と測量成果を登記所へ提出 |
| 事情に応じた資料 | 相続関係、住所変更、法人情報などを示す書類 | 登記名義人と申請人のつながりを確認 |
「隣接地所有者全員の印鑑証明書が必ず必要」など、全国一律の単純な必要書類一覧として考えるのは適切ではありません。境界確認書や印鑑証明書等の取扱いは、事案、地域の実務、登記官の調査、提出する筆界確認情報によって異なります。
相談時には、手元の資料を自己判断で選別せず、古い図面や覚書も含めて土地家屋調査士へ見せてください。資料が古い、寸法が違うという理由だけで価値がないとは限りません。
手続きの流れ
一般的な流れは次のとおりです。土地や地域によって、順序が前後したり、追加の協議が入ったりすることがあります。
- 相談・見積り
目的、希望時期、対象地、手元資料、売買や建築の予定を伝えます。 - 登記所・役所での資料調査
公図、地積測量図、道路・水路資料、基準点などを確認します。 - 現地調査・測量
境界標、塀、擁壁、道路、建物などの現況を確認して測量します。 - 測量成果と資料の照合
取得資料、現地の状況、測量値を比較し、筆界位置を検討します。 - 隣接地・公共用地との境界確認
必要な関係者へ連絡し、現地立会いや協議を行います。 - 境界標の設置・成果作成
確認した位置へ境界標を設置し、地積測量図などを作成します。 - 地積更正登記の申請
管轄法務局へ申請し、必要に応じて登記官の調査や補正へ対応します。 - 完了後の確認
更正後の登記記録と図面を確認し、成果品を受け取ります。
土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記に必要な調査・測量や、その登記申請の代理を業務とする専門家です。業務範囲は、法務省の土地家屋調査士の業務案内で確認できます。
事務所へ依頼する際は、どの段階から費用が発生するか、途中で地積更正が不要と分かった場合の精算方法、境界確認が成立しない場合の成果品と費用を確認してください。
手続きにかかる期間
地積更正登記にかかる期間には、全国一律の標準日数はありません。法務局へ申請した後の審査期間だけでなく、その前の資料調査、測量、隣接地との日程調整、官民協議に時間がかかるためです。
期間を左右しやすいのは、次の要素です。
- 隣接地所有者の人数と連絡の取りやすさ
- 共有者、相続人、所在不明者の有無
- 道路・水路管理者との協議手続
- 過去資料の有無と精度
- 測量できる天候、草木、工事、立入り条件
- 地図訂正や分筆など関連手続の有無
- 法務局の審査・実地調査・補正の状況
売買や建築の予定日が決まっている場合は、予定日だけでなく、売買契約、決済、融資、建築確認など、どの時点までに何が必要かを伝えてください。すべての境界確認が短期間で成立する保証はないため、契約直前ではなく計画段階で相談することが重要です。
見積書と一緒に、「順調な場合の見込み」「長引く可能性がある条件」「依頼者側で準備する資料と期限」を書面で確認すると、費用と日程を同時に管理しやすくなります。
自分で申請できるか
土地所有者本人が地積更正登記を申請すること自体は禁止されていません。しかし、申請書だけを作れば完了する手続ではなく、正しい筆界に基づく測量と、登記所の基準に適合する地積測量図等の作成が必要です。
自分で申請する場合でも、公図や地積測量図等の取得費、測量機器や測量作業、境界標、交通費、郵送費などは必要になります。隣接地との調整や官民協議を自分で進める負担、作成した図面が登記に利用できないリスクも考える必要があります。
次のような場合は、早い段階で土地家屋調査士へ相談するのが現実的です。
- 境界標がない、または位置に疑問がある
- 公図や過去の測量図と現況が一致しない
- 道路・水路との境界確認が必要
- 隣接地所有者が不明、共有、相続未了である
- 売買、融資、建築の期限がある
- 地図訂正や分筆も必要になる可能性がある
土地家屋調査士へ依頼する場合でも、過去資料の整理、隣接地所有者に関する情報提供、立会いの日程調整など、依頼者が協力できる部分があります。すべてを自分で行うか、すべてを任せるかの二択ではなく、見積り時に役割分担を確認しましょう。
土地家屋調査士と測量士、司法書士の役割の違いは、土地家屋調査士の仕事内容と相談できる手続をご覧ください。
地積更正登記の費用FAQとまとめ
地積更正登記の費用は40万円前後と考えればよいですか
令和7年度の特定設例では、全国中央値42万1,000円、中国ブロック中央値39万4,970円、広島会中央値40万9,000円です。ただし、設例と条件が違えば金額も変わります。境界点数、隣接地数、官民協議、資料不足、地図訂正などの有無を確認した個別見積りが必要です。
測量済みなら申請費用だけで済みますか
既存の測量成果が、現在の登記申請に利用できるとは限りません。測量時期、測量範囲、筆界確認の資料、座標や精度、現在の境界標を確認し、不足があれば再調査・再測量・立会いが必要になります。
登記簿面積と実測面積の差が小さくても更正が必要ですか
差の大小だけで一律に判断することはできません。測量方法、登記時の経緯、地積の表示単位、筆界の確認状況、売買や分筆の目的などを確認します。数値だけで自己判断せず、資料と測量成果を土地家屋調査士へ確認してもらいましょう。
土地売買では売主と買主のどちらが費用を負担しますか
常に売主が負担する、または常に買主が負担するという一律の決まりではありません。売買契約の条件、実測売買か公簿売買か、地積更正を行う目的と時期を整理し、契約前に当事者と仲介業者で費用負担を明確にしてください。
隣地が立会いに応じないと費用はどうなりますか
再連絡や追加調査が必要になり、費用と期間が増えることがあります。境界確認が成立しない場合の報酬精算、成果品、筆界特定制度や土地家屋調査士会ADRへ進む場合の別費用を、依頼契約前に確認してください。
地積更正登記には1筆1,000円の登録免許税が必要ですか
地積更正登記だけを申請する場合、原則として登録免許税はかかりません。1個につき1,000円という規定は、土地の分筆・合筆などの登記に関するものです。関連登記を同時に行う場合は、個別に確認してください。
地積更正登記の費用は、申請書の作成料だけではなく、資料調査、現地測量、境界確認、官民協議、境界標設置、地積測量図作成、登記申請の合計で決まります。令和7年度の特定設例では全国中央値42万1,000円、広島会中央値40万9,000円ですが、個別の土地へそのまま当てはめることはできません。
見積りでは、総額の安さよりも、対象範囲、隣接地対応、官民境界、境界標、申請、実費、追加条件が明記されているかを確認してください。過去の測量図や境界確認書がある場合は、最初の相談時に提示すると作業範囲を判断しやすくなります。
土地の売却、相続、建築などの予定がある場合は、希望日から逆算して早めに調査を始めることが大切です。境界確認や官民協議は相手方のある手続なので、短期間で必ず完了するとは限りません。
本記事は一般的な情報を整理したものです。必要な調査、添付情報、費用、期間、税の取扱いは、土地の状況、地域の実務、関連手続、制度改正によって異なる場合があります。正確な見積りと申請方法は、対象地の資料を確認できる土地家屋調査士や管轄法務局へご相談ください。